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デアゴスティーニ『Help!』雑感 -Part 2

ということで、前回に引き続き『Help!』のお話

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前回、デアゴ盤『Help!』についてとても良い音だったと書いた。
実際、ファースト・インプレッションでは私が今まで聴いた全てのフォーマットの中でも一番良い音だと感じた(元が悪すぎる)し、聴き返してみても確かに良い音だが、あくまで私の頭の中での'87CDとの比較で、今日改めてMacに取り込んだデータで2012とUSBと比較してみたが、A-6まではデアゴと2012の明確な違いを聞き分けることはできなかった。
強いて言えば盤質の違いからくる再生音の違いくらいか?

しかし"Ticket To Ride"に関してはやはり例のEQ処理によって明確に異なり、2012は高音が抑えられ天井の低い音。それによってディテールも聞き取りづらく、迫力も無くなっている。デアゴではそれが改善されている。
USBで聴くとノイズが無い分、更にタンバリンの打ち方やハンドクラップなどの細かいニュアンスが聞き取れる。
せっかくなので波形データーと周波数をスペクトル表示してみた。(例によって小さくて見づらいので画像を保存して画像ビュワーで交互に見比べるとわかりやすいかもしれない)

↓デアゴ
デアゴ
↓2012
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↓USB
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デアゴ、2012はどちらも同じ音量で192kHz、24ビットで取り込み。USBは44.1kHz、24ビットで、いずれもFlacをApple Losslessに変換し比較。

あまり詳しいことはわからないので恐縮なのだが、上が左ch、下が右chで、レコードソースはLもRも20kHzまで音が記録されているのはわかる。デアゴと2012を比較すると2012の方は波形が細いので、音量が低いのだろう。気になったのは場所によってチャンネルの波形が上下反転しているように見えること。同一箇所で比較するとデアゴとUSBが上にヒゲが出ているのに2012は下にヒゲが出ていたりする。なんだろうか…?

周波数だが、10kHzより高いところが2012のグラフが密度が薄いように見えるので、やはり高音をマスキングしているようだ。USBはフォーマットが違うので基準が違うが、18kHz?までは音が記録されているようだが15kHzを越えるとほとんど音が記録されていないのがわかる。ノイズが無い分、波形も綺麗だ。周波数も上まで密度が高いように見えるが、デアゴのグラフも拡大すれば同じような感じになるんじゃないかと思った。

じゃあUSBとVinyl(2012とデアゴ)の違いは?

ということになるのだが、2012のライナーによると

(前段略)"「リミッティング」というよく使われる作業に関しても、同様にデリケートなアプローチをとった。21世紀に制作されたアルバムは、過剰にリミッティングを施したせいでうるさくなっていることも多い。静かなパートの音量を引き上げて、ダイナミックなレンジのない「圧縮された」サウンドにしてしまうのだ。CDを作るのに使われたビートルズのステレオ・リマスターには多少のリミッティングがなされている(もちろん微かに、ではあるが。)モノラルのリマスターCD、そして全アナログ盤(編注:この場合2012のこと)には、追加のリミッティングは行われていない。"

とのことらしい。つまり、ステレオのマスターにはマスタリング時に微かにリミッターを掛けているが、CDではカッティング時に更にリミッター処理、2012Vinylはリミッター無し。USBは…リミッターが掛かっていると、どこかで読んだ気がするのだがソースは探せなかった。
しかし、2012がリミッター処理がされていないのだとすれば、比較すると波形を見る限りUSBはリミッターが掛けられているように見える。また、デアゴの波形もUSBに非常によく似ているので微かにリミッター処理されているのではないか?と思う。

そのせいで2012よりもデアゴの方が迫力があると感じたり、活きが良いと感じたりするのだろう。(もちろん2012で内周の曲で過剰なEQ処理を施し、高音をオミットしてしてしまったせいもある)

(余談だが、ステレオCDリマスターの曲間は短いが、モノCDとアナログ盤はオリジナルのレコードと全く同じになっているそうだ…本当かなぁ?)

また、更にライナーを読み解くと2012Vinylは"テスト・カッティングを行い、再生して問題点を特定し、シビランス(歯擦音)を抑えるために、ごく短い部分のレベル(←何の?)を下げたり、「内側の溝の歪み」の問題となる周波数を特定し、(マスリングの段階まで戻り、Pro Toolsで)「外科的なEQ」を使ってそのレベルを下げた"とのこと。

今回のデアゴシリーズではカッティングをやり直しているので、違いが出るのはそこら辺(歯擦音の有無、最内周でのEQ処理の有無、Sgt. Inner Grooveの有無)なんだろうと思う。(事実、デアゴではSgt. Inner Grooveはオミットされている。あれこそがショーン・マギー最高の仕事だったんだけど…)


話を『Help!』に戻して、先ほどA-6までは聴感上の違いを感じなかったと書いたが、波形と周波数を比較したらA-7ほどではないものの終始同じような傾向(デアゴ(USBも)の方が高い周波数の密度が濃い、波形が太い、波形の上下が反転)だった。
長年DTMをしていながらこの波形の上下反転というのが聴感上どういう影響があるのか想像もつかないのだが、なんとなく気持ちが悪い。

Yesterdayがわかりやすかった
↓デアゴ
Yestredayデアゴ
↓2012
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この曲はダイナミック・レンジを大切にしたのか、あまりリミッターが掛けられていないようだ。おそらくヒスノイズ対策のEQ処理によって音質が異なり、それに伴いディテールも失われていると思う。(ただし、周波数を抜き出して聴いて見ると10kHz以上はほとんどモスキート音のような耳障りなノイズで、13kHzあたりではもう何も聞き取れなかった…哀しい)

Dizzy Miss Lizzyも同じ傾向
↓デアゴ
Dizzyデアゴ
↓2012
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これはリミッターを掛けているようでデアゴは海苔っぽくなっているが、聴感上はデアゴの方がやはり音圧が高く、活きが良い音に聞こえ、良い方向へ作用していると思われる。



ということで、このアルバム、全般通して2012よりはデアゴの方が好ましいと言わざるを得ない。それよりも(もしどちらもLimitedだとしたら)USBの方がノイズが無い分良いに決まってる。

じゃあ、オリジナル・ミックスはどうなの?って話はまた次回。
では…
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デアゴスティーニ『Help!』雑感

一昨日降った雪で、北海道はもうすっかり雪景色です。
まぁ、おそらくすぐに溶けてしまうだろうから、まだ根雪になるという事はないだろうが、早いもので今年もあと1カ月足らずとなってしまった。
この時期になると何かと忙しなくなるが、どうか風邪などひかれませんように。

さて、雪といえば…やはりこれ
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先月デアゴから届いたものの、『White Album』その他諸々にどっぷり浸っていたので、なんとなく聴く気がしなかったのだが、昨日『Revolver』と『Magical Mystery Tour』の発送メールが届いたため(というか今日ブツも届いてしまった…)ようやく重い腰をあげて『Help!』を聴いてみたので、今日はその感想でも…。


アルバム『Help!』は嫌いではないのだが、個人的にもっとも聴かないアルバムかもしれない。
なぜか?と考えてもこれといった理由はないのだけれど、近年評価の高まった『Revolver』や『White Album』、名盤の誉れ高い『Sgt. Pepper』やら『Abbey Road』などの陰に追いやられ、(偏見かもしれないが)今となっては「映画のサウンド・トラック」もしくは「(あの名曲)Yesterdayの入ったアルバム」という以上の価値は無いように思う。
「〇〇が選んだ名盤ベスト10」みたいなものにもあまり登場しないような…?

主演映画、アイドルからの脱却、マリファナの影響やら、かの有名な夢で聞いたYesterdayやらエピソードには事欠かないのに、どことなく地味な印象が残る。
今回聴いてみて気づいたのだが、前作「for Sale」がライブ活動に疲れ果て、埋め草的にカバー曲をアルバムに散りばめ、オリジナル曲が弱いのと同様、今作もやっつけ仕事的に作った曲が多かったのではないか?と思った。

タイトル曲"Help!"こそ名曲と評されることが多いが、アルバムを通して大衆の望んだ「ビートルズらしさ(…て人によって分かれるとは思うが)」が希薄なのではないだろうか?(その割に『アニメ・ザ・ビートルズ』はこの時期の彼らをアイコン化しているが…)
"The Night Before"は"last night is the night I will remember〜"からのパートの展開が急で取ってつけたようだし、勢いだけで作ったような曲、エレピが目立ちギターの存在感がない。"You've Got To Hide Your Love Away"はディランとブライアン・エプスタインから着想を得た名曲だが地味。"I Need You"はコード進行をこねくり回すもどことなく頼りない印象。"Another Girl"もお得意のイントロなしでインパクトを狙うもギターの合いの手がヘンテコで、シングルにするには弱い。"You're Going To Lose That Girl"は歌い出しからワウフラッターかと思うほどの音程変化。転調はすごいがボンゴの演奏が投げやり、聴いていてあまり気持ちよくない。"Ticket To Ride"もリズムはチンチクリンだし、"I don't know why she's riding so high〜"からのパートでやっと本調子になるも"〜by me"で丸投げし、ギターのフックでAメロに戻るあたりが陳腐。(とにかくSide1は特にチューニングが合わないのが腑に落ちない)
"Act Naturally"、"Dizzy Miss Lizzy"はカバーだし、"It's Only Love"は冷静に聴くとヘンテコな曲、トレモロを使ったギターも最後の半音階も気持ち悪い。"You Like Me Too Much"はジョージらしくない小粋な曲、"I really do〜"からの展開も広がりがあって良いけど、"If you leave me"でまたも半音階。ビートルズの曲じゃなくてもいいかも?これもギターというよりもエレピが目立つので異色。"Tell Me What You See"は歌い出しのフレーズも無理やり、展開もヘンテコ。"I've Just Seen a Face"、"Yesterday"は良い曲だけど、当時ファンが抱いていたビートルズのイメージなのか?と言われると違うような気がする。そもそもこの時期にジョージの曲が2曲(それも特に傑作というわけでもない)も入っている時点で、決して「絶好調!」といえる状況ではなかったんじゃないか?とも思う。

と、反感を買うことを承知であえて悪いところばかり書かせてもらったが、なんとなく曲自体が未完成であるがゆえに、思いつきで行けるところまでメロディーを持って行ってこねくり回して広げるだけ広げて収集がつかなくなったらフックで誤魔化すというような曲が多いような気がする。("What You're Doing"とかもその流れ)
あと、何か新しいことをしようとして奇をてらって奇抜なリズムを取り入れたり、新しい楽器(ボリューム・ペダル、ピアネット、フルート、ギロやボンゴなどのパーカッション)に飛びついたり、新境地を目指そうと意気込んだは良いが、手探り状態で、どれも実を結んではいないような気がする。(彼らのそういう姿勢がないと『Rubber Soul』の境地にはたどり着けなかっただろうが…)
どことなく前作の雰囲気を引きずっているようなアーシーでアコースティックなサウンドは、現代的な視点で彼らの歴史をわかった上で聴くと『for Sale』から『Rubber Soul』への橋渡しとしてグラデーションで違和感なく聞けるが、"She Loves You"や"A Hard Day's Night"の頃のような曲を期待したファンはきっと面食らっただろうし、「パンチがないなぁ…」などと感じたんじゃないかと思う。また、未発表の"That Means a Lot"の過剰なリバーブはThe Righteous Brothersあたりを連想させるし、"Act Naturally"、"I've Just Seen a Face"などに見られるC/Wの影響、裏ジャケのジョージのウエスタン・ハットなどどこかアメリカへの憧れも強く感じさせる。

まだそれほどポピュラー音楽が成熟しきっていなかった当時の聞き手が彼ら(アイドル)に期待したものは一緒に「歌って」「踊って」「楽しめる」いわゆる「使い捨て」としての音楽であって、芸術性や先進性といったものは二の次だったんじゃないかと思う。

当時のビルボード・チャートを見ても"Satisfaction"、"Sugar Pie, Honey Bunch"、"Mrs. Brown You've Got A Lovely Daughter"、"I Got You (I Feel Good)"、"Help Me, Rhonda"などいわゆるパーティーソングが並ぶ。
その中において"Help!"や"Yesterday"がいかに「踊りづらいか」を考えると、彼らがどれほど異色だったかわかるだろう。

面白いのは66年くらいになると同じパーティー・ソングでも"I'm a Believer"、"Summer in The City"、"Good Vibrations"、"The Little Girl I Once Knew"、"These Boots Are Made for Walking"など曲中でリズムが変わったり、ブレイクをはさんだり、特徴のあるフックで展開を変えたり「一見、踊りやすそうだけど踊りづらい」曲が増えてくる。これがマリファナの影響なのだろうか?(↓"California Girls"で踊らされるのも、なかなか辛いものがある…笑)



さて、話がそれたが『Help!』
↓フロント(冊子は例によって例のごとく)
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↓バック(折り返しなし)
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↓Side 1
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↓Side 2
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↓2012との比較(右が2012、2012の方が解像度が高く感じる)
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↓デアゴはスミの濃度が濃く滲んで見える
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↓バック
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↓これもデアゴはスミが濃く、字が太って見える
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↓レーベルはデアゴは濃度が薄く、パチモノっぽい。盤の厚みも若干薄いような…。インナーバッグは2012の方が薄手で雰囲気がある。デアゴは真っ白。
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↓音溝はさすがは新品、綺麗だ
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肝心の音の方だが、一聴した感じでデアゴは非常に音が良かった。
私が『Help!』をあまり聞かなかった理由の一つが、初CD化の際のリミックスによる過剰なリバーブと、密度の薄さ、軽さ、デジタル特有の硬い音質だったが、それらが払拭され割とドライ目で、タイトで、密度が濃く、迫力があるのに歪まず、低音から高音まで非常にバランスよく聞こえた。
この前の『Rubber Soul』の時もリミックスのデジタルマスターながら旧CDの印象とは打って変わって非常に高音質だと感じた。シリーズ全般通じて他のタイトルでは「USBで聴いた方がいいな」という感じだったのだが、この2タイトルについては新たにリミックスし直したんじゃないの?というくらい好印象を抱いている。それと比べて2012は分離が悪く団子状で歪みっぽく、曲によっては鮮度が悪くぼやけて感じた。

特筆すると"The Night Before"や"I Need You"では旧CDほどボーカルのエコーがきつくない。まるでドライ・ミックスのよう。"Another Girl""You Like Me Too Much"などではエコー成分が抑えられているため、演奏自体がタイトに感じる。ということは、逆に旧CDではあのリバーブのせいで、演奏がぼや〜っとルーズな感じに聞こえていた ということで、これはかなり印象が変わり驚いた。おそらくそのせいで楽器の分離が良くなり、手拍子やタンバリンなどのパーカッションが生々しく聴こえるのだろう。ただ、"Dizzy Miss Lizzy"ではシンバルやカウベルがやや引っ込んで聴こえるので、もう少しやかましくてもいいんじゃないか?と思った。"Ticket To Ride"ではバスドラの音が左右に振られ立体的に聞こえた。

と思いつくまま書いたが、もう少し客観的に判断するためにスペアナ解析やUSBとの比較もそのうちしてみたいと思う…のだが、次から次へと送られてくるのでなかなか時間が取れないのが贅沢な悩みだ。

そういえば、アルバム『Help!』特有の音質の悪さや、チューニングの不正確さなど、このアルバムについてはまだまだ調べれば興味深いことがわかりそうだ。
ちなみに散々悪口を書いたが、このアルバム、("Yesterday"以外…笑)嫌いじゃないですよ、念のため。
「カイリ〜ッ!」
では…

デアゴスティーニ『White Album』音質比較

この記事でデアゴスティーニから届いた『White Album』に傷があったのでサポートに連絡した、というところまでは書いたと思うが、今日はその続き…

前回の『Rubber Soul』の傷の時は、「交換品を送るので、不良品はそちらで処分してほしい」との対応だった。今回もそのようになるのかなぁ…じゃぁポスターとピンナップはどこに飾ろうかなぁ(笑)などと、取らぬ狸の皮算用をしていたのだが、今回はなぜか「交換品を送るので、(レコードだけでいいので)配達員に不良品を渡してほしい」との塩対応(このブログ読んでる?)
こちとらレコードだけで良いと言われても、兄弟を離れ離れにするのはさすがに忍びなかったので、不良なのは兄の方だけなのですが、二人揃って実家に返しました。

で、新しく来た『White Album』なのですが、前回は不良は上の子だけだったのに…

今回は二人揃って不良やないのっ!

明らかに同一のスタンパーでプレスを重ねてヘタッたような溝で、うっすら傷も多い。埃だらけで梱包も雑で内袋も折れが目立つ。2枚目…つまり弟ね、思春期なのかニキビヅラ(気泡が入ったようにところどころ溝がペコンと凹んでる)じゃないのっ!

で、悩んだ末、また手続きするのが面倒なので、うちで面倒みることにしましたよ…。ええ
担当には連絡もしなかったので、良品だと思っているでしょうよ…ええ。
一体どういう環境で作っているのだろうか…。デアゴさんもMPOにクレーム入れるべきだと思うよ、ほんと。
不良品の発生頻度からすると、良品である方が確率的には低いと思う。いや、みんなそんなに気にしていないのかな?


前回は、2012の音源をMacに取り込んでなかったこともあって比較することはできなかったが、今回は徹底的に比較しようと思う。
まずはスパインだが、厚みはさほど変わらないかと思うが、タイトルの文字がデアゴの方が濃い(上が2012)
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ジャケ、そんなに違いは無いと思う(上が2012)
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内側、これもよくみるとデアゴの方がスミが濃いのかハッキリくっきり
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Side 1とピンナップ、これもよく見ると印刷が違う。あと、レーベルのリムの文字の大きさが違う
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Side 2とピンナップ裏
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Side 3とポスター
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Side 4とポスター
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ポスター表、ほとんど同じ
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ポスター裏、右下のクレジットが若干違う
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さて、肝心の音の方だが…

どちらもカッティングレベルは低い。デアゴの方が盤質によるものなのかノイズ成分が多い。
2012は本当にローノイズだ。
U.S.S.R.ではわかりづらいかもしれないがDear Prudenceの"Won't you come out to play"の後のシンバルの残響を聴くとわかりやすいかもしれない。Glass Onionもデアゴの方が自然。Ob-La-Di〜もデアゴの方が高音があって元気が良く感じる。Wild Honey Pieもデアゴの方がギターのカッティングの高音がきらびやか。Bungalow Bill、While My Guitarも同じ傾向。Happiness is a Warm Gunに至っては2012はかなり天井が低く感じる。

Martha My Dearはどちらもイントロでの転写、右chのノイズが目立つがデアゴの方がやはりヒスノイズ成分多め。うちの盤はイントロの一番良いところでサーフェスノイズが乗って歪みっぽい。外周曲だからか意外にも曲中の差異はそれほど感じない。I'm so tiredは2012のベースがブーミーで全体的に低音が歪んで聞こえる。Blackbirdはデアゴの方がヒスノイズが目立つ。Piggies、Rocky Raccoonも同じ傾向。Don't Pass Me Byはイントロは同じ傾向だが曲中は違いがわかりづらい。Why don't we do it in the road?もデアゴの方が自然な音。I Willは2012の合いの手12弦?ギターの音が歪みっぽくて汚い。Juliaも2012はノイズリダクションし過ぎでヴォーカルがカサついている。

Birthdayは2012はヴォリューム低く小さくまとまった感じ。デアゴはその代わり歪みっぽい。Yer Bluesは2012は音場が狭く感じる。Mother Nature's Sonは2012はイントロのギターが詰まって聞こえたが曲中はそんなに違いがないように感じた。Me and My Monkeyは2012はスカスカな音。Sexy Sadieは2012はベースの弾力が失くなったような音。スネアの高音が死んでる。Helter Skelterは2012はイントロのギターが水中で鳴らしてるような音。0:20辺りの左chベースの低音が表現しきれずに歪んでる。これはひどい音。(昨日紹介した日本盤コンパクトのヘルプのような歪み)デアゴはちゃんとベースの音として鳴ってる。Long, Long, Longもデアゴはヒスノイズ多め。2012はノイズリダクションし過ぎでダンボールの中にスピーカーを入れて鳴らしたような音。

Revolution Iは違いが目立ちづらいが、歌い出し前のダダッダダッダダッダのところがデアゴは大きくヒステリックに聞こえる。"You say you want a revolution"の"You say"のところのベースも歪みっぽい。2012は大人し目。Honey Pieは2012はローノイズ、その代わりブラシの音などが引っ込んで聞こえる。Savoy Truffleは違いがわかりづらい。どちらとも褒められない音質。歌い出しCreme tangerine and montelimart の後急に音量が下がり" A ginger sling with a pineapple heart"辺りにかけて2009"A Hard Day's Night"のイントロにあったような音のこもりがある。'78 UKもそういう傾向だったので、そういうミックスなのか…。いずれにしてもデアゴの方が元気がいい。Cry Baby Cryデアゴの方がヒスノイズ多く歪みっぽい。Can you take me back対策か2012は2:28辺りから一層ノイズリダクションがきつくなる。Revolution 9冒頭のおしゃべりでデアゴはヒスノイズ多め、バックで盤由来のノイズが多い。Good Nightも同様の傾向。


やはり思った通り2012は相当なヒスノイズ対策を施していることがわかった。そのせいで相当な旨味が削がれていると思う。
そもそもこのアルバム、他のアルバムに比べても特別ヒスノイズが目立つかもしれない。8トラックで録音されているので、あまりリダクションしていないと思うのだが、何故だろうか?調べる価値がありそうだ…。

重箱の隅を突くように聴くとデアゴの方が2012に比べると聴きやすいし、イメージ通りのいつもの『White Album』なのだが、'78 リシューと比較するとやはり分が悪い。
まず、'78を聞いていて(恥ずかしながらアナログ音源でちゃんと通して聴いたのは9月に"Blue Box"を入手して以来。EASの"Blue Box"は昔から持っていたが、適当に流して多分本気で聞いてなかったと思う。)気付いたのだが、"Sexy Sadie"のエンディングがアナログの方が長いですね。

他のアルバムでも同様にイントロやエンディングが削られていると感じる部分が多々あり、デジタル化する際にノイズを嫌うあまり相当オリジナル音源に手を入れていたんだな、と今更ながら感じた次第。

昔は日本のレコード会社から与えられたものをなんの疑いも持たずに、そのまま素直に受け入れていたが、私のようにCD化以降ファンになった方、もしくは基本的にCDだけで満足な方も多いと思われる(ついこないだまで自分もそうだった)が、やはりアナログ音源(できればUK)を知らないのは(情報の面で)かなり損(?)をしていたなぁと感じた。

感じ方や楽しみ方はひとそれぞれだし、重箱の隅を突くように音を聴くのではなく彼らの音楽に耳を傾ければ、どこの国の盤で、どんなに劣悪な音質で聞こうと彼らの素晴らしい音楽は普遍(不変)なのだけれど…。
では…

英国音源公式録音全213曲制覇計画 -Part 5

前回はJDさんのブログに乗っかる形で『The Beatles Box (From Liverpool)』の紹介をしたが、やはりわたしが入手した日本盤『The Beatles Box (From Liverpool)』はダビングを重ねたようなような寝ぼけた音(それでもEASよりはマシ)なので、まるでミュージック・テープを聴いているような気がして、肝心の音に没頭できなかった。(とはいえ、昔は(大半の日本のファンは)日本盤しか入手する術もなく、その音で充分に満足していたし、今もその音に郷愁を覚える方の気持ちも理解できるが、彼らの目指したものをストイックに追求していくと(私にとっての憧れは)やはり英国盤になるので、決して日本盤を貶める意図はないことをご理解いただきたい。)

いや、それ以前にデジタルに慣れた耳にはアナログ特有のノイズに我慢がならないので、なんとか盤に刻まれた音をノイズに邪魔されずに引き出すことはできないものかと、試行錯誤していた。

傷によるノイズなら諦めはつく…というか、色々中古盤を入手していて気づいたことなのだが、大きめの目立つ傷があっても周回でプツッ…プツッ…というくらいで意外とそんなにひどいノイズにはならない。
それよりも厄介なのは、絶えず鳴っているようなジリジリ、パチパチ、プチプチという感じのノイズや、本来無いはずの歪みである。

歪みに関しては針圧やセッティングの合っていないプレーヤーや、昔の家具調ステレオ、モノラルのポータブル・プレーヤーなどプアな環境で聴かれたことによる音溝の破壊によるものなんじゃないか?と推測していて、ジリパチノイズについては静電気や、昔使用されたレコードスプレーが埃などを塗り固めて固着したものなんじゃないか?と推測している。

傷や溝の破壊が由来のノイズはどうしようもないのだが、レコード盤に付着した異物や、静電気によるノイズならなんとか除去して、少しでも盤本来のポテンシャルを引き出したいと思うのが人情である。

そこで、9/21の記事にあるように色々な実験を試みていたのだが、レコクリン、バランス・ウォッシャーは高いしすぐになくなる。水の劇落ちくんは盤に水酸化ナトリウムの付着を残す可能性があるとのことで却下。ちょっと前まではレーベルカバーをして、台所用洗剤を柔らかいスポンジに数滴垂らし、手前に写っているデンター・システマを使って作成したブラシで円周上を擦り、浄水器を通した水ですすいで、SKC-2 STATIC KILLER CLOTHで拭き取るというのがデフォになっていた。
この方法だと値段が安く、特にデメリットも感じられなかった。
やはり、使う液はとなんであれ濡らしてデンターシステマでこするというのが、一番効果が高いようだ。洗った後に何も残留物を残さないように、しっかりすすぐというのも重要だ。
これで80%くらいのノイズは消せるんじゃないかと思う。しかし、依然、完全無音とは程遠い状況。

そこで専用機のこれこれを購入したい欲に駆られたが、こちとらレコードの買い過ぎで金欠のため、明日の米の心配もしなければならない状況なので流石に断念。
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しかし、超音波という魅惑の響きに抗しきれず、えいままよとこんなものを購入してしまった…(フライヤーじゃありませんよ。斜めにしか入らないので菜箸で支えてんの。)
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説明文の変な日本語に若干嫌な予感がしたのだが、中国からの発送で到着まで1週間ほど掛かった。

さ〜て、綺麗にしましょうね!と以前紹介した『Abbey Road』を洗浄したのだが、うん、音がすっきりして、見晴らしが良くなったような『気』がした。
これに気を良くして例のリバプール・ボックス、Oldies、Magical、Hey Judeも手当たり次第に超音波で洗浄。
まぁこの辺は値段も安かったし、どうなってもいいやって感じで次々と超音波洗浄。しかも、この超音波洗浄機、左のダイヤルで洗浄水の温度を設定できる。事前に他の方のブログで「温度を35度に設定して使用した」などの書き込みを見ていたので冷水よりはお湯の方が汚れは落ちやすいだろうと迷うことなく大体35度に設定して次から次に洗浄しましたよ、ハイ…。

お次は、真打ち登場とばかりに、盤自体はニア・ミントなのになぜかジリパチノイズの消えない"Blue Box"の『Please Please Me』を念入りに超音波洗浄いたしましたよ。ええ…その結果…

反りがひどくなっとるやんけ!
前から反ってたけど明らかに気持ちの悪い動きをしている。ガーン( ̄◇ ̄;)9月19日に時間を戻してほしい。
なんとか聞けてるけど伸びたテープを聞いてるみたいで気持ち悪い。

他の洗浄済みの盤を見てもやはり少し反ってしまったように見える、いや、反ってるに違いない。うわ〜ん!
レコードはビニールなのだから、絶対に熱を加えてはいけない…いや、わかっていたんですがね、超音波の誘惑には勝てなかったんですよ。ハイ。

今度はこれを買わなければならないかも。(というか、これを買うくらいなら"Blue Box"は聴き倒してOne EMI Boxにグレードアップした方が安く済むんじゃないか?)

で、これだけの犠牲を払った超音波の肝心の洗浄能力の方は?ということだが…


その前に『英国音源公式録音全213曲制覇計画』とタイトルを付けたからには新ネタがあるので、そちらの方を。
ここにも書いたのだが、"I'm Down"のリアル・ステレオ初登場は'65年発売の日本盤コンパクトだというこということで、検証するために入手したのでご紹介します。
これが噂のオデオン・コンパクト盤(OP-4110)オクで900円也。
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裏側
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高崎一郎氏による時代がかった解説付き。メンバーの紹介で「天使のような美しさのポール・マカートニー」「八方破れの魅力、リンゴ・スター」って…(笑)。リアルタイムでさえ「こんなグループは以前も以後も、ビートルズ以外現れることは考えられません」という予言めいた本質をついた言葉が出るほど、やはりビートルズは異質に写ったのでしょうね。

さて、肝心のサウンドは?と、針を下ろすと…
びっくりするほどのノイズの嵐。"ヘルプ"ってこんなに歪んでたっけ?"涙の乗車券"に至っては「元祖ヘビーメタルだ」というジョンの発言を信じてしまうほどのディストーション。
なんじゃこりゃ?ということで、早速(もちろん常温)例の超音波洗浄機へ投入するも、音質変わらず。

こんなものを買っておいたので、溝を観察してみた。
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すると、なんだか見たことがないほど溝の形がおかしい
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しかも、超音波洗浄をかけただけだとあまり汚れが取れていないようだ。
ちなみに、割と綺麗な"Blue Box"の中の『White Album』と比較↓
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ほとんど溝の中に汚れがないのがお分りいただけるだろうか?

以上のことからなんとなくわかったのだが、超音波洗浄機だけだと劇的な効果は無さそうだ。つまり、音が良くなったと感じていたのはプラシーボの可能性が高いということ。溝にがっちり入り込んだ汚れは(うちの)超音波単体だとあまり効果がないようだ。

難しいことはわからないのだがちょっとググると、超音波洗浄とはキャビテーション効果・加速度・直進流の3つの相乗効果で行われ、キャビテーションによる衝撃波を利用して汚れを剥離し、剥離した汚れを加速度により引き剥がし、直進流により分散除去させるのだそうだ。

キャビテーションというのは超音波により液体に生じた真空の気泡が破裂することにより生じた衝撃波を利用した洗浄方法なのだそうだ。液体に超音波を照射することにより液体が激しく揺さぶられて局所的に圧力が高い部分と低い部分が出来、圧力が低い部分では液体中に小さな真空の空洞が出来、再び圧力が高くなり、この空洞が押しつぶされるとき、液体中に衝撃波を発生させ、衝撃波が、固体表面に付着していた汚れを剥離させるということらしい。

なにやら効果がありそうだが、ネットで調べると「プラスチックや樹脂製品の硬度では超音波の振動を吸収してしまうので何も効果がない」との意見もみられた。卵を布団に投げつけても割れないのと一緒らしい。(その割に、「泡が弾けるルエネルギーで壊食されて、大事なレコードがボロボロになる」と書いてあるので、矛盾しているように感じるが…)

しかし、実際に使ってみるとやはりS/N比が良くなっているような気がするし、目視できる盤の劣化も見られない。(試しにアルミホイルを入れてみるとプツプツと穴が開く。しっかり超音波は出ているようだ。)
その反面、今回のコンパクト盤のようにあまり綺麗になっていないものがある。
どうやら、超音波洗浄機を使用する前にデンターシステマでこすった盤だと効果があるようだ。そういえば専用機もブラシと回転機構がセットである。なので、単体でうちの超音波洗浄機を使用するよりも、台所用洗剤で濡らした盤を一旦デンターシステマで擦り(それもターンテーブルを使用した方がムラなくブラシ掛けが出来る)、勢いよく水ですすぎ、超音波洗浄を掛けて洗剤を洗い流すというのが現時点では一番効果があるようだ。

そうして洗浄したコンパクト盤がこの画像↓
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だいぶ綺麗になったのがお分りいただけるだろうか?
ここまでしたのに、残念ながら歪みの方は改善していなかった。ということは、元々の音源が悪いのか、音溝が荒れてしまっているのかのどちらかだろう。

先ほどの『White Album』の画像と比較すると、なんだかギザギザしている。刻まれている信号のせいでこうなっているのかは不明だが、これでは針がスムーズにトレース出来るようには見えない。

ということが客観的にわかったので、今回のミニ顕微鏡は非常に良い買い物だったと思う。
恐らく、デンターシステマでレコードをトレースすることに顔をしかめる方もいらっしゃることと思うが、レコードは多少傷が付いていても音溝を侵食していていない限り大丈夫なほどタフだと思われる。


と、話がそれたが肝心の"I'm Down"だが、確かにリアル・ステレオだった。
世界に先駆けて我が日本で初登場したことは驚きに値する。
しかし、なにせこの状態なので音質の方はお察し、というか、確かに世界初登場なのは事実なのだが、やはりコピー・マスターなので、鮮度が良い音なのか?といわれると疑問が残る。もしかしたらもっと状態の良い盤だと良い音なのかもしれないが、この時代の日本盤は往往にして音溝が荒れているような気がする。
ここはおとなしくUK盤『Rock'n Roll Music』で充分なのかもしれない。

ただ、ひとつ気になった点。このコンパクト盤、無音部でなぜかハムノイズのようなものが聞こえる。
カッティングの際に乗ってしまったものなのかどうかは不明ながら、以前紹介した『Rubber Soul』のオデオン赤盤もハムノイズっぽい音がするので、そういうものなのか…?
また、Audacityで切り出す際に気付いたのだが、"I'm Down"のイントロ(歌い出し)前に転写に混じってほんの少しだがリバーブの残響のようなノイズがある。これは何だろうか?基本的には'65.6.18に作成されたステレオ・ミックスが元だと思うので、他の音源にもあるはずなのだが…と思って聞いてみたら、モノラルだと目立たなくなっているが、確かに他の盤にもあった。

ということで、色々書いたが、レコードにお湯は禁物である。
では…

プロフィール

LOGICKEY

Author:LOGICKEY
函館市在住
1972年生まれ
好きなArtists:
The Beatles
Paul McCartney
etc…

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